取引先とのWeb会議の最中に、こちらの映像だけが固まる。「声が途切れています」と言われ、慌ててテザリングに切り替えた──。会議室でのZoomやTeams、Google Meetの不調は、執務スペースでは普通に使えているぶん、原因が見えにくいものです。Web会議は動画を見るのとは違い、こちらからの送信と通信の遅れに敏感です。この記事では、会議室でWeb会議が途切れる原因の確かめ方と、効く対策の選び方を整理します。
この記事の結論
- Web会議は上り(こちらの映像・音声の送信)も使い続け、遅れや揺らぎに弱い通信です。速度を測るときは上りとPingを見ます
- 会議室だけ途切れるなら、電波の届き方か同時接続数が原因のことが多く、会議室へのAP設置(PoE給電)や会議用の席の有線化が効きます
- 有線でも途切れるなら、回線の上り不足やVPN経由など、Wi-Fi以外を疑います。工事の前に切り分けるのが近道です
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Web会議の通信は「上り」と「遅れ」に厳しい
Web会議が途切れやすいのは、こちらからの送信(上り)を使い続け、しかも遅れたデータを後から取り戻せない通信だからです。
- 上りも使う:上り(アップロード)とは、パソコンからインターネットへデータを送る方向の通信のことです。下りが速くても上りが細いと、相手の画面でこちらの映像が止まります
- 遅れや揺らぎに弱い:動画配信は先読みしてためておけますが、会話はためておけません。データの到着の遅れやばらつきが、そのまま音声の途切れになります
- 同時に何人もつなぐ:参加者が各自のパソコンで入ったり、別の会議室でも同じ時刻に会議が始まったりと、負荷が重なります
ビデオ通話に必要な速度は、1人あたり上り・下りとも数Mbps程度が一般的な目安です(2026年10月時点。各サービスが公式に推奨値を公開しています)。Pingとは、データを送ってから応答が返ってくるまでの時間のことです。快適さを左右するのは速度の大きさより、上りが安定して出ているかとPingがばらつかないかです。
会議室でWeb会議が途切れる6つの原因
原因は「会議室の電波」「つなぐ台数」「回線と経路」「パソコン」のどこかにあります。AP(アクセスポイント)とは、Wi-Fiの電波を出す親機のことです。
- 会議室にAPがない・壁で弱い:執務スペースのAPの電波を、壁や扉越しに拾っている状態です。一般的にパソコンの電波はAPより弱いため、受信はできても送信が届きにくくなります
- 同時接続数が多い:参加者のパソコンやスマートフォンが、1台のAPに集中します
- 2.4GHz帯の混雑:周りのWi-Fiや電子レンジと電波を取り合いやすい帯域です(Wi-Fiの2.4GHzと5GHzの違い)
- 回線の上り不足:クラウドへのバックアップなどと重なると、会社全体の上りが埋まります
- VPN経由:VPNとは、暗号化した専用の通り道をつくり、社外から社内のネットワークに安全につなぐ仕組みのことです。会議の通信まで社内を経由すると、遠回りで遅れが増えます
- パソコンの省電力設定:バッテリー駆動中やWi-Fiアダプターの省電力設定で、無線の性能が抑えられることがあります
「こちらの映像だけが止まる」「こちらの声だけが途切れる」という症状は、上りの不足を疑う手がかりです。
途切れる原因を絞り込む確認の手順
上りとPingの数値、時間帯、有線との比較の3つで、Wi-Fiの問題か、回線や経路の問題かを切り分けられます。
- 会議室で測る:会議に使うパソコンで速度測定サイトを開き、上りとPingを記録します。測るたびにPingが大きく変わるなら、揺らぎが出ています
- APの近くで測る:近くでは安定するなら、会議室までの電波の届き方が原因です
- 時間帯を変えて測る:特定の時間帯だけ遅いなら、回線の混雑か、社内のバックアップなど大きな通信を疑います
- 有線と比べる:LANケーブルでハブやルーターに直接つなぎ、同じように測ります
- VPNのオン・オフで比べる:社内のルールで認められた範囲で試します
有線で安定するならWi-Fi側、有線でも不安定なら回線・ルーター・経路の問題です。会議中の状態は、Zoomの「統計情報」やTeamsの「通話の正常性」の画面でも確かめられます。全般的な切り分けはWi-Fiの速度が遅い原因を切り分ける7つの確認手順で紹介しています。
ポイント:「会議室とAPの近く」「Wi-Fiと有線」の測定結果をスクリーンショットで残しておくと、業者に相談するときも原因の見当がすぐにつきます。
会議室のWeb会議を安定させる対策を比較
確認の手順で分かった症状に合う対策を選びます。
| 対策 | 効きやすい症状 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 会議室にAPを置く(PoE給電) | 会議室だけ弱い、人が集まると途切れる | AP増設1台25,000円〜+機器代 |
| 会議用の席は有線LAN | 商談など、途切れては困る会議 | 配線の経路と距離でお見積もり |
| 5GHz帯を使う | 2.4GHz帯の混雑で不安定 | 設定の見直しで済むことが多い |
| QoSでWeb会議を優先 | 大きなアップロードと重なると途切れる | 機器と構成でお見積もり |
| 来客用Wi-Fiを分ける(VLAN) | 来客や私物の端末が同じWi-Fiにいる | VLAN設計・設定30,000円〜 |
| 回線の見直し | 有線でも上りが遅い | 回線の契約による |
費用は2026年10月時点の目安で、派遣費10,000円が別途かかります。ほかの工事は工事の費用ページをご覧ください。
会議室のAPは天井設置とPoE給電で
PoE給電とは、LANケーブル1本で通信と電源をまとめて送る仕組みのことで、天井にコンセントを用意せずに済みます(PoE給電のメリットと使いどころ)。会議室の天井にAPを置くと、パソコンとAPの間の壁がなくなり、上りが安定しやすくなります。フロア全体の台数や配置はオフィスのWi-Fi 6アクセスポイント配置と台数目安で解説しています。
5GHz帯に寄せるときはDFSに注意
DFSとは、気象レーダーなどの電波を検知すると、APがチャンネルを自動で切り替える仕組みのことです。5GHz帯のW53・W56が対象で、切り替え時に数十秒から1分ほど通信が止まることがあります。会議中の短い停止が繰り返されるなら、対象外のW52(36〜48チャンネル)を使う設定も選択肢です。
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会議と同時に流れる通信を整理する
電波の対策と並行して、会議中に上りを奪う通信を減らすと、途切れはさらに起きにくくなります。
- QoSで優先する:QoSとは、通信に優先順位をつけ、遅れに弱い通信を先に流す仕組みのことです。対応する業務用ルーターが必要です
- 来客用Wi-Fiを分ける:VLANとは、1つのネットワークを設定で複数の区画に分ける仕組みのことです。来客用に通信量の上限を設ければ、会議の帯域を守れます(VLANとは?中小企業が導入するメリット)
- 大きな通信の時間をずらす:クラウドへのバックアップやOSの更新は、夜間などに設定します
- VPNの経路を見直す:会議の通信だけVPNを通さない設定(スプリットトンネル)にできる場合があります
VPNの設定を自己判断で外すと、社内のセキュリティの方針に反するおそれがあります。経路の見直しは、システムの担当者と相談して決めてください。
自分でできること・業者に頼む目安
設定や使い方で直るものは、まず社内で試せます。会議室への配線が要る対策からが、業者に頼む目安です。
工事の前に試せること
- 5GHz帯につなぎ直す:2.4GHz用と5GHz用のWi-Fi名があれば、5GHz側を選びます
- 電源と更新:会議中は電源アダプターをつなぎ、省電力の設定とWi-Fiのドライバーを見直します
- 映像を減らす:発言しない人はカメラを切り、上りの量を減らします
正直にお伝えすると、古いパソコンで仮想背景などの機能を使うと、ネットワークではなく処理の重さで映像が乱れることもあり、この場合は工事をしても改善しません。
業者に頼んだほうがよいケース
会議室の天井へのAP設置、会議用の席へのLANコンセント新設、来客用Wi-Fiの分離やQoSの設定、複数の会議室や個室ブースをまとめて見直したい場合です。試せることを試しても会議室だけ途切れるなら、電波の届き方を工事で変える段階です。対応内容はオフィス・テナント向けのLAN工事のページをご覧ください。
福岡のオフィスで気をつけたいこと
福岡市内のオフィスでも、会議室を後からつくると、執務スペースに置いたAPの電波が会議室の中まで届きにくくなることがあります。
天神・赤坂・博多駅周辺の中小規模のテナントビルでは、限られた区画に会議室やWeb会議用の個室ブースを後から設けるレイアウトが一般的です。壁の素材によっては電波が弱まり、入居時のAPの位置のままでは会議室が「電波の陰」になることがあります。会議室の位置が決まった段階でAPとLANコンセントの位置も決めておくと、後からの工事を減らせます(オフィス移転のLAN工事スケジュール完全版)。
会議室のWeb会議とWi-Fiでよくあるご質問
Q. ルーターを買い替えれば、会議室の途切れは直りますか?
原因が会議室までの電波の届き方なら、直らないことが多いです。ルーターの性能を上げても壁を越える力は大きく変わらないため、会議室の近くにAPを置くほうが効果的です。
Q. 会議室のパソコンだけ有線にすれば、Wi-Fiの工事はいりませんか?
会議室の1台で会議に入る使い方なら、有線だけで解決することがあります。参加者が各自のノートパソコンで入るなら、会議室にAPを置くほうが向いています。
Q. 中継器やメッシュWi-Fiで会議室をカバーできますか?
届くようにはなりますが、無線で中継するぶん遅れが増えやすくなります。Web会議を毎日行う会議室には、LANケーブルでつないだAPのほうが向いています。
Q. APの取り付け工事の間、会議室は使えませんか?
天井への配線と取り付けの間は、会議室を使えない時間ができます。会議の予定に合わせて日程を決めるほか、夜間・休日の作業もご相談ください(料金はお見積もりでご案内します)。
まとめ:会議室のWeb会議は「上り」と「電波の届き方」から見直す
Web会議は上りを使い続け、遅れや揺らぎに弱い通信です。会議室で途切れるときは、上りとPingを測り、APの近くや有線と比べると原因が絞れます。電波が原因なら天井へのAP設置や会議用の席の有線化、社内の通信が原因ならQoSや来客用Wi-Fiの分離が効きます。測定結果と会議室の間取りをLINEで送っていただければ、工事が要るかどうかからお返事します。設定の見直しで済みそうなら、そうお伝えします。
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