中古住宅を買ってリノベーションする計画が動き出すと、間取りやキッチン、床材と決めることが次々に押し寄せ、LAN配線はつい後回しになりがちです。けれども、壁と天井がはがされている期間こそ、家じゅうにケーブルを通せる最大のチャンスです。この記事では、リノベ工程のどこでLANを仕込むか、リノベ会社に何を伝えるか、完成後に頼む場合との費用差を、中古戸建て・中古マンションの両方に向けて整理します。
この記事の結論
- LANを仕込む最適なタイミングは「解体後〜断熱材・石膏ボードを張る前」。電気の配線工事と同じ時期です
- 壁が開いているうちなら1本あたり1〜2万円程度。完成後の壁内配線は1本60,000円〜(派遣費別途)と、数倍の差がつきます
- 着工前に「部屋と本数・天井のWi-Fi用配線・情報分電盤・Cat6A」を伝え、LANの作業日を工程表に入れてもらうのが近道です
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中古住宅リノベーションのLAN配線は「解体後〜ボード張りの前」がベストタイミング
LANケーブルを通すのに最適なのは、解体で壁や天井の中が見えてから、断熱材と石膏ボードで閉じるまでの間です。先行配線とは、壁や天井を仕上げる前にケーブルだけを先に通しておく工事のことです。一般的な工程では、次の位置に入ります。
- プラン打ち合わせ(着工前):LANの部屋・本数・情報分電盤の位置を図面に書き込む
- 解体:既存の電話線・テレビ線・配管の状態を確認
- 電気・設備の配線:ここでLANケーブルを通す(仕込みの本番)
- 断熱材の施工:外壁側の壁が埋まる前に通線を終える
- 石膏ボード張り:壁と天井が閉じ、以降は「完成後の工事」扱いに
- 内装仕上げ:クロス・床材の施工
- 器具付け:LANコンセントの取り付けと通信テスト
LANの作業日は3の電気配線と同じ時期に組み込み、5のボード張りより前に終えるのが最適です。マンションでは外壁に面した壁以外に断熱材が入らないことが多く、目安は「間仕切り壁と天井のボードを張る前」です。
フルスケルトンと部分リノベでは、できることがここまで違う
骨組みだけに戻すフルスケルトンなら新築並みの自由度で配線できますが、部分リノベでは「今回開ける壁と天井」を通るルートに限られます。スケルトンリノベーションとは、内装や設備をいったん撤去し、構造躯体だけの状態から作り直すリノベーションのことです。
| 比較項目 | フルスケルトン | 部分リノベ |
|---|---|---|
| 配線ルートの自由度 | 高い(新築並み) | 開ける範囲に限られる |
| 天井のWi-Fi用配線 | 希望の位置に通しやすい | 範囲外なら点検口経由か露出配線 |
| 情報分電盤 | 位置から新設・移設できる | 既存位置の近くで工夫する |
| 既存配管 | 状態を見て入れ替えられる | 使えるものを活かす |
| 工事範囲外の部屋 | ほぼ発生しない | 完成後と同じ工事になりやすい |
部分リノベで効くのは、部屋と部屋をつなぐ「通り道」を工事範囲に入れてもらうことです。廊下の天井ボードの張り替えを加えるだけで、工事しない部屋へも通線しやすくなります。
既存の電話線・テレビ線・CD管は再利用できるか
古いケーブルをLANに流用するのはおすすめしにくい一方、それが通っている「管」は再利用できることがよくあります。CD管とは、壁や床の中にケーブルを通すための樹脂製の配管のことです。
| 既存の設備 | 再利用の可否 | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 電話線 | 線はLANに不向き。管に入っていれば入れ替えに使えることも | 管に入っているか |
| テレビ線(同軸) | LANの代わりにはならない | 残す端子を決める |
| CD管・PF管 | 太さと曲がりに余裕があれば再利用可 | 細い管はCat6Aが通りにくい |
| 既存のLAN | Cat6以上で傷みがなければ残す選択も | 被覆の印字で規格を確認 |
古い電話モジュラー・既存LANは撤去か、再利用か
固定電話を使わない、またはルーターの近くに置いた電話機だけで足りるなら、各部屋の電話モジュラーは役目を終えています。壁が開いているなら撤去してふさぐか、同じ位置をLANコンセントに置き換えるのがすっきりします。Cat5eまでの古い既存LANも、この機会に入れ替えるのが割安です(規格はLANケーブルのカテゴリを確認する方法で見分けられます)。
VDSL方式とは、建物の共用部までは光回線で引き込み、各住戸へは電話線でインターネットを届ける方式のことです。中古マンションの建物がVDSL方式の場合、室内の電話線を撤去すると回線が使えなくなるおそれがあります。解体前に、回線の方式と経路を確認しておくことが欠かせません。
情報分電盤の新設・移設はリノベで決めておく
中古住宅には情報分電盤がないか、あっても小さいことが多く、リノベは新設・移設の好機です。情報分電盤とは、ONU(光回線の終端装置)やルーター、HUBをまとめて収め、各部屋へのLAN配線の起点になる収納ボックスのことです。
- 位置:家の中央寄りで熱がこもりにくい収納内が理想。ルーターを入れるなら、そこがWi-Fiの中心になります
- 光回線の引き込み:屋内の終端(光コンセント)を動かすのは回線事業者の工事になることが多く、早めの相談が必要です
- 盤内の電源:コンセントの新設は電気工事士の資格が要るため、電気工事の範囲に含めてもらいます
- 予備スペース:停電に備える小型UPSなどを置ける余裕を残します
停電や雷への備えは台風・停電に備えるネット対策で詳しく扱っています。
リノベ会社・設計担当との役割分担と、打ち合わせで伝えること
「施主が決めて伝える」「リノベ会社が工程に組み込む」「LAN業者が通して試験する」という分担で考えると、打ち合わせがスムーズです。
| 担当 | 主な役割 |
|---|---|
| 施主 | 使い方・家具配置・予算を決め、LANの場所を伝える |
| リノベ会社(設計・現場監督) | 図面に反映し、LANの作業日を工程に組み込む |
| LAN工事業者 | 配線計画・通線・コネクタ処理・通信テスト |
| 回線事業者 | 光回線の引き込み・開通、光コンセントの移設 |
打ち合わせで伝えることチェックリスト
- 部屋と本数:部屋別の目安は新築戸建てのLAN配線はどの部屋に何本かと同じ考え方
- 天井のWi-Fi用配線:アクセスポイントの位置
- 情報分電盤:位置・大きさ・盤内コンセント
- 規格:ケーブルとLANコンセントをCat6Aで
- 既存設備:電話線・テレビ線・CD管を残すか撤去するか
- 回線:引き込み位置と、開通・移転の時期
- 作業日:LAN業者が入る日をボード張りの前に
- 記録:閉じる前に配線ルートを写真で残す
ボード張りの日程が固まる前に、LANの作業日を工程表へ書き込んでもらうことが、いちばん確実な失敗防止策です。
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リノベで有線LANを仕込む費用と、完成後に頼む場合の差
壁が開いているうちの仕込みは1本あたり1〜2万円程度、完成後に壁内へ通すと1本60,000円〜が目安で、同じ1本でも数倍の差がつきます。
| 依頼するタイミング | 参考価格(1本あたり) |
|---|---|
| 解体後〜ボード張りの前 | 1〜2万円程度(8本前後で5〜10万円程度) |
| 完成後・既設CD管を利用 | 60,000円〜 |
| 完成後・壁内や天井裏の新規ルート | 80,000円〜 |
| 既存LAN配管のCat6A引き直し | 1本目40,000円〜(同時2本目以降20,000円〜) |
いずれも派遣費10,000円が別途かかります。完成後の工事は戸建ての壁内LAN配線工事の費用と注意点、料金の全体像は工事の費用ページをご覧ください。
ポイント:迷っている1本は「仕込む」側に倒すのが経済的です。あとから足すと、同じ1本が壁内配線の工事になります。
規格はCat6Aをおすすめする理由
Cat6Aとは、10Gbpsの通信に100mまで対応するLANケーブルの規格のことです。福岡でも10ギガ対応の光回線が広がっており(2026年9月時点)、壁の中を入れ替えずに回線の高速化へ備えられます。ケーブルが太い弱点も、配管ごと替えられるリノベ中なら問題になりにくいでしょう。違いはCat6とCat6Aの違いと選び方で解説しています。
福岡の中古戸建て・マンションのLAN配線でよくあるご相談
福岡では、市中心部の築年数を重ねたマンションと、郊外の中古戸建てとで、ご相談の論点が分かれる傾向があります。
- 中央区・南区・早良区などの築古マンション:室内より先に、建物の回線方式(VDSLか光配線か)の確認が要になりやすい
- 東区・西区・糟屋郡などの中古戸建て:2階や書斎の有線化、天井へのWi-Fi用配線のご相談が一般的です
- 天井を張らない「躯体現し」のマンションリノベ:配線が見えるため、配管の見せ方を内装デザインと一緒に決めます
業者に頼まなくていいケース・自分でできること
正直にお伝えすると、リノベ会社の電気工事業者がLAN配線にも対応できるなら、Cat6Aでの施工と通信テストをお願いすれば十分です。水回りだけのリノベで今のWi-Fiに不満がなければ、無理にLANを足さず、中継器やメッシュWi-Fiで足りることもあります。既存ケーブルの印字確認、テレビ端子や電話モジュラーの位置の書き出し、家具配置の決定はご自身でできます。工事全般は個人住宅向けLAN工事のページにまとめています。
中古住宅リノベのLAN配線でよくあるご質問
Q. 解体が始まってからの相談でも間に合いますか?
石膏ボードを張る前なら、間に合うことが多いです。工程表と図面をいただければ、作業できる日を逆算してリノベ会社と調整します。
Q. 「Wi-Fiがあるので有線LANは不要」と言われました。
間取りによっては不要ですが、2階建てや部屋数の多い家なら、天井のWi-Fi用に1本だけでも仕込んでおくことをおすすめします。
Q. 中古マンションのリノベで、管理組合への手続きは必要ですか?
リノベ工事全体の届出を求められるのが一般的なので、LAN配線も含めておくと安心です。光回線の引き込み方法を変えるなど共用部に関わる場合は、別途許可が必要です。境界の考え方はマンションのLANコンセント増設の記事で解説しています。
Q. 将来LANを増やせるように、しておけることはありますか?
曲がりの少ない予備の空配管を1本通しておくと、あとからCat6Aを通しやすくなります。ただし配管だけではすぐ使えないため、使う予定の部屋にはケーブルまで入れておくのが確実です。
まとめ:リノベのLAN配線は「壁が閉じる日」から逆算する
中古住宅リノベーションのLAN配線は、解体後〜断熱材・石膏ボードの前、電気の配線と同じ時期に仕込むのがもっとも割安で確実です。壁が開いているうちなら1本あたり1〜2万円程度、完成後は既設CD管の利用で1本60,000円〜、新規ルートなら80,000円〜(派遣費別途)と差が開きます。着工前に本数・位置・情報分電盤・規格を伝え、LANの作業日を工程表に入れてもらうことが、後悔しないための近道です。図面と工程表をLINEでお送りいただければ、仕込む本数と作業日の目安をお返しします。
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